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  • AOCブルーチーズ特集後編

    2011/ 7/26 12:28 2011/ 7/26 12:28 2011/ 7/26 10:25 2011/ 7/26 13:43 2011/ 7/26 10:11

    合わせるワインは、マルク・テンペのロゼ・ソヴァージュ2008 Domaine Marc Tempe Roses Sauvages Alsace

    ブルーチーズに合わせるワインはテキスト通りにいくとソーテルヌやポルト、バニュルスなどの甘口ワインか熟成した赤ワインですが、今回はロゼに挑戦してみました。

    いつもお世話になっているワインショップ・カーヴドチネンの知念さんがお勧めしてくれたのが、アルザスのビオデナミの旗手、マルク・テンペが作るピノノワール100%のその名も「野生のバラ」エチケットも素敵!

    このワイン、以前、ワイン勉強会で牛フィレ肉のローストとベストマリアージュだったことを思い出し、個性の強いブルーチーズにも合うかもしれないと期待はどんどんふくらみます。

    色調は玉ねぎの皮の色のような、やや茶色がかったサーモンピンクで大人の雰囲気を醸し出しています。香りは甘いハチミツ、梅ジャム、バラの花の香り、味わいはしっかりした酸味と後味にほのかな甘み、どっしりしたボディは普通のロゼの概念を超えていました。ものすごくおいしい!

    もちろん、どのチーズとも合っていましたが、特にブルードーヴェルニュとブルーデュヴェルコールサスナージュとはベストの組み合わせのように思いました。

    塩味の強いブルーチーズにはハチミツやジャムなどの甘いものを添えます。
    今日は手前からローズマリーのコンフィチュール、ラム酒漬けのレーズン、栗のハチミツの3種類を用意しました。
    ローズマリーのコンフィチュールはいつも繊細でアーティスティックなスイーツを作るnaruru okinawaのもの。http://www.naruru.jp/

    ただ、今回のブルードジェクスやブルーデュヴェルコールサスナージュが繊細で完璧な味わいだったので何もつけずに単独で楽しむ方がお勧めかも。

    パンはいつものように宗像堂
    カレンズがぎっしり詰まったもの、カシューナッツ&クルミ、ライ麦粉100%のパンの3種類。個性の強いブルーチーズには個性的なパンが合います。

    今日のサラダはトマトのサラダ
    6種類ものブルーチーズを試食した後はさっぱりしたサラダをいただきたいものです。沖縄ではそろそろトマトの旬も終わりに近いのですが、完熟のトマトを薄切りにして、みじん切りのガーリックとオリーブ油、レモン汁、土佐酢、醤油を隠し味にしてバジルの葉を散らします。我が家ではトマトが安くておいしい時期には毎日のように食卓にのぼります。

    このチーズの器は、ロクフォール村のソシエテ社の洞窟見学ツアーの最後にお約束の売店で購入したもの。タイルにロックフォールが洞窟内で熟成されてる様子が描かれています。でも、帰国して荷物を解いたらひび割れていてショックだったのですが、接着剤でくっつけて今も大事に使っています。


  • AOCブルーチーズ特集 研究科第6 回前篇

    2011/ 7/26 12:29 2011/ 7/26 12:38 2011/ 7/26 12:44 2011/ 7/26 12:52 2011/ 7/26 13:02 2011/ 7/26 13:11 2011/ 7/26 13:24

    今日の研究科ではフランスAOCブルーチーズを特集しました。

    フランスのAOCチーズ46種類の中でFromage a pate persillees(パセリ状の生地のチーズ)とよばれる青カビタイプは
    ロックフォールをはじめ、ブルーデコース、ブルードーヴェルニュ、フルムダンベール、フルムドモンブリゾン、ブルードジェクス、ブルーデュヴェルコールサスナージュの7種。

    これらのチーズの産地は険しい山間部であり、中には低温多湿で冷涼な空気が循環している自然の洞窟が存在しており、ブルーチーズの製造条件を備えています。

    青カビの種類はペニシリウム・ロックフォルティやペニシリウム・グロクム。
    二つの青カビは実は同じ菌株で名前が違うだけだと教わりましたが、何故こんな面倒なことをするのかしら。統一してほしいものですね。

    ペニシリウムロックフォルティは9㎏のライ麦パンにカビの種を植え付けて洞窟内で増殖させて何十億というカビの胞子の中から優秀なカビだけを取り出します。
    1個のパンから2.5㎏のカビができ、大匙1~2でなんと400個のロックフォールができるというから、このカビパワーのすごさがわかりますね。

    ロックフォールが製造されているルエルグ地方のロックフォール・シュル・スールゾン村に行ったのは2007年のことでした。牧場、工場、そして洞窟と念願の見学ができました。

    牧場内で最も印象深かったのは飼料に対する絶対の自信でした。
    飼料は全て自家製で、冬は刈り取った牧草を乾燥させたものを与えています。
    積み上げられた牧草を引き抜いて匂いをかいでみましたが、本当になんとも心地よい素晴らしい香りがして、こんな草を食べるからおいしいミルクが出るのだと実感しました。

    ちょうど、福島原発の影響で稲藁が汚染されているという痛ましいニュースが流れていますが、どんなものを食べるかがいかに重要なことかをロックフォール村で再認識したものでした。

    牧場にはマスコットの黒いロバがいました。
    羊を統率するのは牧羊犬かと思いきや、元々はロバがその役目をしていたとのことです。犬はともすれば羊を傷つけてしまうこともあるそうですが、ロバはおとなしいのでそんなことはないと話していました。

    ソシエテ社の洞窟見学では撮影禁止だったので記憶をたどってみると、
    まるでアミューズメントパークのようにきちんと整備され音響効果までついていたのには苦笑してしまいましたが、私たちのようなチーズ専門家ではなく一般人を相手にするには多少の演出は必要なのでしょう。

    ここでも驚いたことが一つ。
    ロックフォールは洞窟内で2か月以上熟成させると、どの本にも書いていますが、実は洞窟内では最高14日間まで熟成させ、後は別のカーヴに移して熟成させるとガイドの説明がありました。洞窟内では青カビの増殖がすごいので2週間以上は置けないということでした。

    今日はフルムドモンブリゾンがどうしても手にはいらなかったので、7種のうちの6種を試食しました。

    写真の上から左、右、左、右と説明していきます。

    1. ブルードーヴェルニュ
    産地:オーヴェルニュ地方
    牛乳製でほとんどが殺菌乳。19世紀中頃にロックフォールをお手本に作ったのが始まりといわれます。今日のものは表面にうっすらとリネンス菌がまとわりついていて、それをふきとって食べてみました。苦味があるかなと想像したのですが、全く予想を裏切られ、クリーミーな舌触り、ほのかな甘みとキノコ臭、青カビの心地よい刺激に最初からノックアウトされてしまいました。
    これは価格もロックフォールのほぼ半額なのにこのおいしさはすごいです。

    2. フルムダンベール
    産地:オーヴェルニュ地方
    オーヴェルニュを代表するブルーチーズの一つ。背の高い円筒形で表皮が少し固めで弾力のある組織が特徴。ブルードーヴェルニュに比べると塩分がよりしっかりとあり、美しいパセリ状に広がる青カビの刺激は思ったほど強くなく、ブルー初心者にはおすすめです。

    3. ブルードジェクス
    産地:フランシュ・コンテ地方
    コンテやモルビエを作っている地域で作られるブルー。表皮にはGEXという文字が刻印されています。カビが細かいゴマ状に広がっています。表皮は固くうっすらと白カビがついています。まず、そのナッツの香ばしい香りにうっとりとしました。塩味もマイルドで青カビの刺激も穏やかです。チーズとしての味わいでは完璧な調和がとれています。
    今まで、青カビ好きとしてはブルーの刺激が少なくちょっと物足りなく感じていましたが、今回のものを食べてジェクスの印象が変わりました。

    4. ブルーデュヴェルコールサスナージュ
    産地:ローヌアルプ地方
    自然な白カビが表皮についている優しい味わいのブルーチーズで、ジェクスと同じく香ばしいナッツ臭と青カビの穏やかな刺激がとても心地良く、ブルーチーズというよりはセミハードタイプの山のチーズという印象。

    今回の特集での一番の収穫はオーヴェルニュやミディピレネーのブルーチーズとは一線を画すこれら二つのチーズの奥ゆかしい美味しさを再認識したことでした。

    5. ブルーデコース
    産地:ミディピレネー地方
    ロックフォールの牛乳版といわれ、どうしてもロックフォールの陰に隠れていまいがちで近年衰退の危機にひんしているといわれていますが、ほどよい塩味と甘味、トーストを焼いたような香り、メントールの爽やかさも感じます。

    6. ロックフォール
    産地:ミディピレネー地方
    いよいよ真打ち登場!貴婦人のようなブルーチーズは世界中から愛されていますね。
    今日のチーズはロックフォール全生産量のたった0.6%しか作られないイブコンブ産。日本ではイブコンブとして流通していますが、現地ではVieux Berger(羊飼いのおじいさん)という名前で親しまれています。
    華やかな香り、羊乳のコクのある味わい、トースト香、甘み、青カビの刺激、そのどれもがすべてバランスよく、圧倒的な存在感を放っています。だれでも、この貴婦人の前ではひれ伏してしまいたくなりますね。

    せっかくなので、ブルーデコースとロックフォールのブラインドテイスティングをやってみました。
    ロクフォールと他のブルーチーズを見分けるポイントは三つあります。
    一つは色。羊乳で作られるロックフォールは他の牛乳製に比べて色がより白いのです。二つ目は塩分。ロックフォールはブルーチーズの中で一番塩分量が高いのです。青カビが順調に増殖するためには雑菌の繁殖を抑えなければなりません。そのために塩分を強くするので、ブルーチーズは他のチーズよりしょっぱいのです。三つ目は表皮近くにゴーティーフレーバーを感じること。羊にも山羊臭はあり特に表皮の部分に顕著に表れます。

    見た目がほとんど同じなので味わいで判断するのですが、6種類もブルーチーズを試食した後ではもう舌がマヒしていて塩分を感じ取ることもできませんでした。それで、最後のゴーティーフレーバーの有無で判断すると、全員○!


  • AOCシェーブル特集 研究科第5回 後篇

    フランスにおけるシェーブルの一大産地はロワール河流域です。

    8世紀にこの地のポワティエでフランス国王シャルル・マルテル率いる
    フランス軍がイスラム教徒のサラセン軍を奇跡的に撃破しました。

    奇跡的というのは、当時のサラセン帝国は世界最強の騎馬軍団を誇り、
    フランスなんて文化的に遅れた国だったのです。鐙(あぶみ)の存在を
    フランス軍はその戦いで初めて知ったくらいですから。

    では何故、世界最強のサラセン軍を撃退できたかというと、
    いよいよ明日は一大決戦という時に、サラセン軍が突然退却してしまったのです。
    サラセン軍の最高司令官が急死したためでした。

    司令官を失ったサラセン軍は命からがらイベリア半島に引き返すのですが、
    その時に大量の山羊とチーズ職人を置いてけぼりにしました。
    当時の戦争は食料も自給自足しながらのんびりとしたものだったので、
    山羊を連れ、山羊のチーズを作りながら兵糧を調達していました。
    でも、
    逃げるのに山羊まで連れて帰るわけにはいきませんよね。
    結果、残された大量の山羊とチーズ職人は土地の人にシェーブルの作り方を
    伝えながら、この地に根をおろしたのです。

    この地方を代表するシャビシュー・デュ・ポワトゥ(chabichou de poitou) の
    chabi はアラブ語のchebli(山羊)からきていて、サラセン軍の影響が色濃く
    残されていることを物語っています。

    フランスAOCのシェーブル14種のうち、ロワール河流域で製造されるものは
    6種類にのぼります。
    (シャビシュー・デュ・ポワトゥ、クロタン・ド・シャビニョル、プーリニィ・サンピエール、サントモール・ド・トゥーレーヌ、セル・シュール・シェール、ヴァランセ)

    山羊は牛と違い、どんな過酷な環境でも生きていけます。
    険しい山岳地帯や乾燥した草木もまばらな土地、ごつごつした岩だらけの土地でも
    木の根っこをかじってでもたくましく成長します。

    前篇で、終戦直後の沖縄に山羊を贈ったという話をしました。
    乳量が10倍もある牛ではなく何故山羊なのか。
    戦後の荒廃した土地で生きていけるのは山羊だったからでしょうね。

    話をAOCシェーブルに戻しますと、
    ロワール河流域以外のシェーブルは、ペラルドン(ラングドック)、ロカマドール
    (ケルシー)、シュヴロタン(サヴォア)、ピコドン(ローヌ)、バノン
    (プロヴァンス)、マコネ(ブルゴーニュ)、リゴット・ド・コンドリュー
    (ローヌ・アルプ)、シャロレ(ブルゴーニュ)

    シャロレは2010年にAOCの仲間入りを果たしたシェーブルですが、
    シャロレは高級食肉としてブルゴーニュを代表する食材として有名です。
    ブルゴーニュの道路の両脇には、大きな灰色のシャロレ牛の看板が立っており、
    「おいしいシャロレを召し上がれ!」と観光客を誘っています。

    ですから、シャロレというと、牛の品種、そして、山羊乳のチーズという
    二つの意味があります。

    今回の試食は7種。

    シャビシュー・デュ・ポワトゥ
    産地:ポワトゥ・シャラント地方
    表皮は薄く薄茶を帯びた白で、中身は白くきめ細かくコンパクト
    酸味、塩味のバランスが程良い
    *ポワトゥ・シャラント地方はフランスの80%の山羊を飼育している一大シェーブル産地。

    プーリニィ・サン・ピエール
    産地:ベリー地方
    ピラミッドまたはエッフェル塔と呼ばれる独特の形状。表皮はガマ肌のように
    ゴツゴツしている。シャビシュー・デュ・ポワトゥに比べるとより酸味と塩味、
    コクが際立ちインパクトが強い。(おいしい!)

    クロタン・ド・シャヴィニョル
    産地:ベリー地方(サンセールの中のシャヴィニョル村)
    小さな太鼓型。コンパクトな組織でホクホクとした食感。爽やかな酸味とナッツのようなコク。

    ピコドン
    産地:ドーフィネ地方
    中世プロヴァンス語のオック語で辛いpiquier(辛い)から。
    熟成させたものはかなり刺激的な味わいで名前通りなのですが、これは比較的
    若い熟成で、ゴーティーフレーバーをほとんど感じさせない。
    白カビチーズのようなマッシュルームの香りと、穏やかな酸味とミルクの甘い味わいでとても上品。

    リゴット・ド・コンドリュー
    産地:リヨネ地方
    優しい酸味とヘーゼルナッツのようなコク。これならばシェーブル初心者にも
    自信を持ってお勧めできる一品です。

    マコネ
    産地:ブルゴーニュ地方
    小さな丸い台形で自然の白カビ、優しい甘みとしっかりした酸味の調和が
    素晴らしい。今回のものは微かにスモーク臭を感じましたが、気のせいでしょうか。
    ブルゴーニュのブドウ農家が自家用に作っていたものです。白ワインのマコネと
    合わせたら最高のマリアージュでしょうね。

    ロカマドール
    産地:ケルシー地方
    メダル型とよばれる薄い小さな円盤形。優しい酸味とナッツのコク、ミルクの甘み
    そのすべてがバランスよく、初めてシェーブルをおいしいと思ったのがこれ。
    大好きなシェーブルです。

    今日のチーズに合わせるワイン
    Domaine Trotereau Quincy 2008 ドメーヌ・トロテロー・カンシー

    ブドウ品種:ソーヴィニョンブラン
    産地:ロワール地方カンシー
    特徴:一部貴腐ブドウが使われているが甘口ではない。リンゴや蜜の甘く香ばしい香り。ドライハーブのニュアンスとがっしりしたミネラル感。

    シェーブルと合わせるワインは基本的にしっかりした酸味とハーブのニュアンスのあるソーヴィニョンブランがよいようです。
    また、酸味と甘みのバランスが程良いヴーヴレィも超お勧め。
    熟成したシェーブルは泡盛の古酒(クースと発音してね)とも花マル!

    本日のサラダはローストクロタンサラダ

    こんなに贅沢なサラダがあるでしょうか!
    薄切りにしたカンパーニュにクロタンを載せてロースト
    ヴィネグレットソースで和えた野菜にトッピング

    クロタンサラダはフランスに行ったとき何度も食べましたが、かの地では
    量が半端じゃなくすごい!とても一人では食べきれないくらいの野菜に
    クロタンがどーんと載っていました。今日のはちょっとショボくてごめんなさい。

    パンはいつものように宗像堂

    チーズが載っているガラスのお皿はフランスのお土産にいただいたもの
    チーズの形をしているの、可愛い!

    チーズ教室研究科 毎月第4火曜日 11:00~
    単発参加も大歓迎です。